政府の各種提言等

1.第3期科学技術基本計画(平成18年3月28日 閣議決定)

第1章 基本理念 2.第3期基本計画における基本姿勢
(2)人材育成と競争的環境の重視~モノから人へ、機関における個人の重視
 科学技術力の基盤は人であり、日本における創造的な科学技術の将来は、我が国に育まれ、活躍する「人」の力如何にかかっている。我が国全体の政策の視点として、ハード面でのインフラ整備など「モノ」を優先する考え方から、科学技術や教育など競争力の根源である「人」に着目して投資する考え方に重点を移しつつある(「モノから人へ」)。科学技術政策の観点からも先にインフラ整備ありきの考え方から、優れた人材を育て活躍させることに着目して投資する考え方に重点を移す。潜在的な人材の発掘と育成、人事システムにおける硬直性の打破や人材の多様性の確保、創造性・挑戦意欲の奨励などの政策を進めることにより、創造的な人材の育成を強化するとともに、個々の人材が有する意欲と情熱をかき立て、創造力を最大限に発揮させる科学技術システム改革に取り組む。その際、若手研究者や女性研究者、さらには外国人研究者など、多様な個々人が意欲と能力を発揮できるよう根本的な対応に取り組む。科学技術活動の基盤となる施設・設備の整備・充実に当たっても、国の内外を問わず優秀な人材を惹きつけ、世界一流の人材を育てることを目指す。このような人に着目した取組は、我が国の科学技術力を長期的に向上させていくとともに、我が国に対する国際的な信頼感の醸成にも貢献するものである。
 科学技術における競争的環境の醸成については、科学技術に携わる人材の創造的な発想が解き放たれ、競争する機会が保証され、その結果が公平に評価されることが重要である。現代の高度化した科学技術活動を進めていくためには、個々の研究者及び研究者を目指す若手人材は適切な施設・設備を有する研究・教育機関に属することが不可欠と考えられるが、競争的な研究開発環境を整えるためには、縦割りの組織維持管理的な発想で研究・教育機関を運営するのではなく、個々人の発意や切磋琢磨を促すことなどを通じて競争的に研究者を育て、能力を十分に発揮させていくような研究・教育機関となる必要がある。研究・教育機関が個人の科学技術活動の基盤を担う機能を持つことにも留意しつつ、今後は競争的環境の強化という観点から「機関における個人の重視」へと政策の転換を図る。

第3章 科学技術システム改革 3.科学技術振興のための基盤の強化
(1)施設・設備の計画的・重点的整備
 世界一流の優れた人材の育成や創造的・先端的な研究開発を推進し、科学技術創造立国を実現するためには、大学・公的研究機関等の施設・設備の整備促進が不可欠であり、公共的施設の中でも高い優先順位により実施される必要がある。
 その際、特に大学には次世代をリードする研究者など優れた人材の輩出が要請されていることから、創造的な学問、研究の場にふさわしい環境・雰囲気の醸成が求められる。
①国立大学法人、公的研究機関等の施設の整備
 国立大学等施設緊急整備5か年計画により、優先的に取り組んできた施設の狭隘解消は計画通り整備されたものの、老朽施設の改善は遅れ、その後の経年等による老朽改善需要とあいまって、老朽施設は増加した。また、平成13年度以降新たに設置された大学院への対応、若手研究者の教育研究活動スペース確保への対応、新たな診断・診療方法の開発に伴う研修・実習への対応など、新たな教育研究ニーズも発生している。
 1960年代から1970年代にかけて大量に整備されてきた国立大学法人等の施設の老朽化が深刻化しており、機能的な観点から新たな教育研究ニーズに対応できないだけでなく、耐震性や基幹設備の老朽化など安全性の観点からも問題があるため、国は、老朽施設の再生を最重要課題として位置付け、長期的な視点に立ち計画的な整備に向けて特段の予算措置を講じる。
 国立大学法人等において必要な整備面積は約1,000万平方メートルに達している。国は、このうち、卓越した研究拠点、人材育成機能を重視した基盤的施設について、老朽施設の再生を最優先として整備する観点から、第3期基本計画期間中の5年間に緊急に整備すべき施設を盛り込んだ施設整備計画を策定し、計画的な整備を支援する。
 また、長期借入金等により整備を進めている大学附属病院や国立高度専門医療センターについては、引き続き、先端医療の先駆的役割などを果たすことができるよう、着実に計画的な整備を進めることを支援する。
 国立大学法人等は、全学的視点に立った施設運営・維持管理や弾力的・流動的スペースの確保等の施設マネジメント体制を一層強化するとともに、産業界・地方公共団体との連携強化、寄付・自己収入・長期借入金・PFI(民間資金等活用事業)の活用など、自助努力に基づいた新たな整備手法による施設整備を推進することが求められる。国は、国立大学法人等のこのような改革への取組を促進するために、必要な制度の見直しを行うとともに、国立大学法人等の取組を積極的に評価した上で、優先的な資源配分を行う。


2.教育振興基本計画 (平成20年7月1日 閣議決定)

(今後10年間を通じて目指すべき教育の姿)
○社会を支え、発展させるとともに、国際社会をリードする人材を育てる

(今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むべき施策)
基本的方向3:教養と専門性を備えた知性豊かな人間を養成し、社会の発展を支える
○世界最高水準の卓越した教育研究拠点を形成するとともに、大学院教育を抜本的に強化する
○大学等の国際化を推進する(「留学生30万人計画」の推進、留学生受入れ拡大)
○国公私立大学等の連携等を通じた地域振興のための取組などの社会貢献を支援する
○大学等の教育研究を支える基盤を強化する
  大学等の教育研究施設・設備の整備・高度化
   優れた人材の育成や創造的・先端的な研究開発を推進するため、大学等の施設・設備について、安全性の確保だけでなく、現代の教育研究ニーズを満たす機能を備えるよう、重点的・計画的な整備を支援する。このため、「第2次国立大学等施設緊急整備5か年計画」(平成18~22年度)を着実に実施する。

3.我が国の高等教育の将来像(答申) (平成17年1月28日 中央教育審議会)

第3章 新時代における高等教育機関の在り方
1 各高等教育機関の教育・研究の質の向上に関する考え方
(1)大学
(オ)大学院(修士・博士・専門職学位課程共通)
 ○ 大学院教育の実質化のための重要課題としては、以下のものが考えられる。
  e)研究者等及び大学教員養成機能の充実
   ・大学院の研究機能の強化(施設・設備など)

第4章 高等教育の発展を目指した社会の役割
1 高等教育の発展を目指した支援の在り方
(1)高等教育への支援の拡充
 ○知的なネットワークの広さと質が極めて重要な意義を持つ知識基盤社会においては、質の高い労働力や研究成果の供給による利益のほかに、層の厚い高等教育の存立そのものが経済社会全体の発展の基盤として不可欠の存在となるものと考えられる。
 ○このため、高等教育に要する費用は、学生個人のほかに、社会全体や産業界等も負担すべきものであり、高等教育への公財政支出の拡充とともに民間企業や個人等からの資金の積極的導入に努めることが必要である。
 ○高等教育の重要性にかんがみ、各国で高等教育への投資を充実しつつある。例えば、英国では、授業料を増額する一方で、高等教育に対する財政支出の対GDP比を0.7%から0.8%へと増加させつつある。

4.学士課程教育の構築に向けて(答申) (平成20年12月24日 中央教育審議会)

第5章 基盤となる財政支援
1 財政支援の強化と大学の説明責任の徹底
(3)特に、我が国の高等教育に対する公的財政支援は、対GDP比等で見ると、他の先進諸国と比較して、手薄であると言わざるを得ない。教育研究環境をめぐるアメリカに対する圧倒的劣位の背景の一つには、顕著な投資規模の格差とその拡大がある。ユニバーサル段階を迎え、多様な学生を受け入れていく中、積極的な投資がなければ、教育の質の向上はおろか、現状維持さえ困難となる。
 大学の自主性・自立性を尊重する観点からも、基盤的経費を確実に措置した上で、競争的資金を拡充し、財政支援全体の強化を図っていくことを強く望みたい。
 一方、大学は、社会に対する説明責任を十分に果たしていくことが求められており、国は、そうした枠組みづくりを進めていくことが望まれる。

5.高等専門学校教育の充実について(答申)(平成20年12月24日 中央教育審議会)

3 社会経済環境の変化に対応した高等専門学校教育の今後の在り方
(2)高等専門学校における教育の充実の方向性
 ア より高度な実践的・創造的技術者の養成
 (イ)高等専門学校の基盤の充実
  高等専門学校の機能の充実を図るためには,基盤的経費を確実に措置するとともに,施設・設備の更新・高度化や優秀な教員の確保等が不可欠であり,これらの教育研究基盤の充実を図る。

4 高等専門学校教育充実の具体的方策
(4)教育基盤の強化
 ウ 施設・設備の更新及び高度化
  高等専門学校の施設については,専攻科の設置や学科の改組への対応,狭隘(あい)な教室の解消などの教育環境の改善,多人数寮室の解消など学生寮の居住環境改善が進められてきたが,現在の状況としては,国立高等専門学校では建築後25年以上を経過した建物が全体の約75%(そのうち全面改修が済んでいるものは約1/3のみ)となるなど,老朽化が深刻化しており課題となっている。
  あわせて,専攻科の拡充,地域連携強化のためのスペース確保等,新たなニーズへの対応や,学生寮においては,自習室やコンピュータ室の不足解消等,教育の場としての機能改善が望まれる。
  このため,安全の確保や効果的な教育研究を進めるために,耐震性の劣る施設を中心に,緊急性・優先度を踏まえつつ施設・設備の計画的な整備を進めていくことが必要である。
また,これまで国立高等専門学校の施設・整備については補正予算によって措置される場合が多かったが,実践的・創造的技術者の養成を担う国立高等専門学校の重要性や,施設の整備状況を踏まえ,毎年度の施設整備予算を安定的に確保するなど,計画的な整備を支援していくことが必要である。

6.中長期的な大学教育の在り方について(諮問) (平成20年9月11日 文部科学大臣)

 我が国の大学教育の質を保証し、社会からの信頼の向上を図るため、大学教育の将来を見据えた中長期的な在り方について、国際的・歴史的に確立されてきた大学制度の本質を踏まえつつ、特に、次のような事項を中心に逐次検討。

1 社会や学生からの多様なニーズに対応する大学制度及びその教育の在り方について
(1)社会や学生からの多様なニーズに対応する大学教育の在り方について
(2)多様なニーズに対応する大学教育を実現するための「学位プログラム」を中心とする大学制度及びその教育の再構成について
(3)社会的要請の特に高い分野における人材養成について
(4)多様なニーズに対応する大学教育を実現するための質保証システムの在り方について
(5)多様なニーズに対応する大学教育を実現するための学生の履修を支援する方策について

2 グローバル化の進展の中での大学教育の在り方について
(1)大学の国際競争力の向上のための方策について
(2)大学の評価における国際的な視点の導入と,世界的規模での大学に関する評価活動への対応について
(3)アジア域内等の国際的な学生・教員の流動性向上の促進等について

3 人口減少期における我が国の大学の全体像について
(1)人口減少期における大学全体の健全な発展の在り方について
(2)大学の機能別分化の促進と大学間のネットワークの構築について
(3)全国レベルと地域レベルのそれぞれの人材養成需要に対応した大学政策の在り方について
○ 上記の1~3に関連した大学教育に係る各種の行財政システムについて

7. 「留学生30万人計画」骨子(平成20年7月29日 文部科学省、外務省、法務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省)

3.大学等のグローバル化の推進 ~魅力ある大学づくり~
留学生を引きつける魅力ある大学づくりとして、英語のみによって学位取得が可能となるなど大学のグローバル化と大学等の受入れ体制の整備について支援を重点化して推進する。
 1国際化の拠点となる大学を30選定し重点的育成。

4.受入れ環境づくり ~安心して勉学に専念できる環境への取組~
 宿舎確保の取組など留学生が安心して勉学に専念できる受入れ環境づくりを推進する。また、地域や企業等が一体となった交流支援を促進する。
 1大学等が各関係機関と連携し、短期留学を含め渡日後1年以内の留学生に宿舎を提供できるよう、大学の宿舎整備、民間宿舎確保の円滑化、公的宿舎の効率的活用等の多様な方策を推進。

8.社会総がかりで教育再生を -第三次報告- (平成19年12月25日 教育再生会議)

○大学・大学院の抜本的な改革 ~世界トップレベルの大学・大学院を作る~
・イノベーションを創出し国際競争を勝ち抜くためにも、教育研究施設・設備を整備する

9.経済財政改革の基本方針2008 (平成20年6月27日 閣議決定)

○教育の国際化
 ・教育の大胆な国際化を進めるため、平成20年度中に、グローバル30(国際化拠点大学30)(仮称)を始めとする、留学生30万人計画を策定し、具体化を進める。
○革新的技術戦略
 ・優れた革新的な技術シーズを特定し、資源の重点的・集中的投資を図りつつ、それにふさわしい研究開発体制を整備して、スピード感を持って発展させ、イノベーション創出につなげる。
 ・研究開発初期段階からの戦略的な知的財産の創造・保護・活用を始め、出口を見据えた研究開発のマネジメントを実現するとともに、革新的技術を持続的に生み出す環境を整備する。
○環境・エネルギー技術等のトップランナー構想
 ・我が国の環境・エネルギー技術は世界のトップ水準にあるが、革新的技術により世界をリードするとともに我が国の経済を支えるため、トップ水準を堅持する。
 ・基礎研究を始め研究水準の高度化を図り、世界最高水準の研究拠点を整備するとともに、イノベーションを加速する新たな仕組みを構築する。

10.平成21 年度予算編成の基本方針(平成20年12月3日 閣議決定)

Ⅲ 国民生活と日本経済を守るための予算の重点化・効率化
1 生活者の暮らしの安心
(雇用・社会保障)
 医療については、国民の医療に対する不安の解消を図るため、産科・小児科をはじめとする医師等の不足への対応(医師派遣の推進のための派遣先・派遣元医療機関への財政的支援等)、女性医師の就労支援、都市部を含めた救急医療や周産期医療体制の整備、地域医療・慢性期医療の推進、地域の中核的医療機関としての大学病院等の機能の充実等医療体制の確保に向けた取組を強化するとともに、長寿医療制度の見直しを検討する。
2 金融・経済の安定強化
(成長力強化)
 基礎研究の振興を図りつつ、ノーベル賞を受賞するような世界最先端の研究開発を促進するとともに、イノベーションを促進するため、イノベーション創造機構(仮称)やイノベーション特区(仮称)を創設する。
3 地方の底力の発揮
(住宅・公共投資)
 地球温暖化により懸念される集中豪雨の増加等の自然環境の変化も考慮しつつ、大規模な地震や水害・土砂災害等に備え、防災・減災対策を戦略的・重点的に進める。その際、学校や住宅等の耐震化の一層の加速、公共施設の震災対策の実施、災害時要援護者の避難支援等ハード・ソフトの連携を図る。
 (中略)既存ストックの有効活用、効率的・計画的な維持管理・更新による長寿命化、PFIを通じた更なる民間活力の活用、規格の見直し等による効率的な公共事業の実施に努める。

11.成長力加速プログラム (平成19年4月25日 経済財政諮問会議)

第三章 成長力可能性拡大戦略
4.大学改革 “3つの重点パッケージ”
○イノベーション(単なる科学技術ではなく合理的な思考力等を含む)の源泉となる学術研究の推進:競争的資金の拡充と審査・評価の充実、民間等からの奨学寄附金拡大、施設・設備の充実、若手研究者支援

 以上の目標を達成するべく、以下の3つの重点的に取り組むべき改革について、教育再生の取組の一環として、今後5年間で取り組む政策プログラムを、可能なものについて数値目標を設定した上で「基本方針2007」に盛り込み、出来るものから実行に着手する。

1イノベーションの拠点として-高度研究拠点への研究資金の選択と集中
 優れた研究を生むには、研究者の年齢を問わず、高い評価を得た研究に予算が集中的に投下されるとともに、革新的な研究拠点など魅力的な研究環境が整備されなくてはならない。このため、競争的資金の拡充と間接経費の充実、審査の国際化、評価結果の次の資金配分への反映、基盤施設・設備の充実、先端機器の官民共同開発及び共用、若手研究者に魅力ある研究環境の整備等を進める。また、高度な研究から生み出される知的財産が効果的に活用されるよう、産学官連携の戦略的な展開を推進する。

12.地域の知の拠点再生プログラム(平成18年2月15日 地域再生本部決定)

5 地方大学等の施設の再生
○老朽化した地方大学等の施設について、耐震性を向上させるなど安全・安心な環境への再生、教育研究の高度化に対応した機能の向上等を支援することにより、優秀な学生や研究者を惹きつける魅力ある環境に再生し、地域における産業、医療等を支えるための人材を育成するとともに、地方大学等の人材や知的財産を地域社会・産業界との連携により活用し、地域の社会・経済の発展等に貢献する。

13.地域再生総合プログラム(平成19年2月28日 地域再生本部決定)

3-5.地域の産業活性化プログラム
(1)基本的な考え方
 地域経済の持続的な発展のためには、地域の雇用創出とあいまって、企業立地の促進、中小企業の再生、地域資源を生かした産業の創出・活性化、地域への対日投資促進、地域の大学等と連携したイノベーションの推進、地域密着型金融の機能の強化等による地域の産業活性化の推進が不可欠である。

14.地方再生戦略(平成20年12月19日改定 地域活性化統合本部会合)

第1 地方再生の基本的考え方
3 平成21 年度以降の地方再生の方向性
(2)省庁連携の強化~ワンストップでの支援に向けて
 ア 地域の「人材力の強化」
 (イ)地域と大学等の連携を通じ、地域での「産学官連携」の推進
   地域の様々な主体と大学等との連携を進める中で、地方大学等の教育研究機能の一層の充実や大学間連携に対する支援に加え、例えば、三大都市圏の大学等の有する技術力の地方への積極的な移転の推進を図るなど、都市と地方の連携を強化する。

15.アジア・ゲートウェイ戦略会議 (平成19年5月16日 アジア・ゲートウェイ戦略会議)

1.「最重要項目10」
3.アジア高度人材ネットワークのハブを目指した留学生政策の再構築
~ 新たな国家戦略策定に向けた関係者の力の結集
<新たな留学生戦略策定に向けた基本方針>
○短期留学生受入れ促進:数週間~1年未満の短期交換留学の拡大が、欧米先進国を中心に世界的な潮流となってきていることを踏まえ、大学の短期留学プログラム開発や留学生用宿舎整備・確保を支援する。

16.長期戦略指針「イノベーション25」 (平成19年5月25日 イノベーション25戦略会議)

2)次世代投資の充実と強化
1若手研究者、意欲的・挑戦的研究への思い切った投資等の研究資金改革
○若手研究者向け資金の充実と強化
 若手研究者の自立的な研究環境の構築や女性研究者が出産・育児等で研究活動に支障を来さず能力を発揮できるよう、研究や生活環境の整備を図る。
2世界の頭脳が集まる拠点づくり
・ 世界トップレベルの研究拠点づくり
 イノベーションを起こすには、その出発点である大学等の基礎研究の機能を格段に高め、国際競争力を強化する必要がある。そのためには、世界トップレベルの研究拠点を、従来の発想にとらわれることなく構築し、世界の頭脳が集い、優れた研究成果が生み出され、人材を育む「場」を我が国に作っていく必要がある。

3)大学改革
1大学の研究力・教育力の強化
○大学の研究と教育両面にわたる国際競争力の強化
イノベーションの担い手となる国際的に通用する質の高い人材を育成するためには、我が国の大学において、国際的にも魅力のある大学院を構築するとともに信頼される学部教育を実現し、大学の国際競争力を高めることが重要である。このため教育研究の基盤を支える基盤的資金は確実に措置しつつ、以下の取組を促進する。
- 大学の研究と教育の両面の国際競争力の強化を通じた世界的な拠点を形成するための取組。
- 社会の様々な分野で広く活躍する高度な人材を養成するための、大学院における優れた組織的・体系的な教育の取組。
- 若手研究者の自立促進や女性研究者のための環境整備、日本人研究者の「異」との交流等を促進し、イノベーションの担い手となる創造的な人材の育成。
- 大学の施設環境を国際的な水準の魅力あるものとしていくための整備。

17.革新的技術戦略 (平成20年5月19日 総合科学技術会議)

○革新的技術の推進のための新たな仕組みの整備
 ・革新的技術による成長を実現するためには、組織の壁を越えて優れた人材を結集するとともに、府省の枠を越えて連携して研究資金投入を行うことにより、オールジャパン体制で研究開発を加速し、イノベーション創出につなげることが不可欠である。
○革新的技術を持続的に生み出す環境整備
 ・世界最先端の研究施設・拠点に優れた外国人を受け入れるための魅力ある研究・生活環境を整備する

18.平成21年度の科学技術に関する予算等の全体の姿と資源配分方針 (平成20年6月19日総合科学技術会議)

○科学技術が大きな役割を果たす喫緊の最重要政策課題への重点化
 ・他国の追随を許さない革新的技術を生み育て、重点投資をすることにより、我が国の技術の優位性を確保し、成長に寄与
 ・世界の喫緊の課題である温室効果ガスの大幅削減に向け、明確な目標設定と官民協力の下で、環境エネルギー技術に重点投資
 ・アフリカ地域など途上国の発展の鍵を握る科学技術の協力を推進する等、科学技術外交を強化
 ・地域活性化を図るため、多様性や国際競争力のある地域科学技術拠点群の形成、地域イノベーション人材力を強化
 ・成果の社会還元を加速するため、実証研究と制度改革の一体的推進(社会還元加速プロジェクトの積極的推進)
○最重要政策課題への対応の基盤となり、多様な知と革新をもたらし将来の国力の源泉となる基礎研究の充実や優れた人材の育成・確保を継続的に推進

19.平成21年度概算要求にかかる見解(平成20年10月31日 総合科学技術会議)
「大学等の施設の整備」の平成21年度概算要求にかかる見解

総合的見解
○国立大学等の施設整備については、第3期科学技術基本計画において、卓越した研究拠点や人材育成機能を重視した基盤的施設について、老朽施設の再生を最優先として整備する観点から施設整備計画を策定して計画的に整備すること、大学附属病院について引き続き着実に計画的な整備を進めることとされており、本事業は極めて重要なものとして計画的・積極的に実施する必要がある。
○平成21年度概算要求額は約922億円と大幅な増額ではあるが、「第2次国立大学等施設緊急整備5か年計画」に基づき老朽施設の再生を最重要課題とし着実に推進すべきである。
○イノベーションの担い手となる国際的に通用する質の高い人材を育成するためには、我が国の大学において、国際的にも魅力のある大学院を構築するとともに信頼される学部教育を実現し、大学の国際競争力を高めることが重要であり、このため、大学の施設環境を国際的な水準の魅力あるものとしていくための整備を促進することが必要である。これを実現するため、平成21年度予算においては、特に、魅力ある教育研究環境整備、世界水準教育研究施設設備、国際交流促進施設設備を重点化して一層推進しようとし、さらに、システム改革として、施設マネジメント、新たな整備手法、コスト縮減、適正な入札契約手続きについても一層推進しようとしている点は、高く評価できる。
○平成21年度予算においては、第3期科学技術基本計画等で目指す、優れた人材の育成、イノベーション創出の基盤の整備の観点から、優先度の高い公共的施設として、所要額の適切な措置が必要である。

個別事項
教育研究基盤施設の再生分
○平成13から17年度の5か年間の第1次整備計画期間中において、老朽改善が当初計画の約半分にとどまったことを踏まえ、第2次整備計画においては、老朽施設の再生を最重要課題とした上で、人材養成機能を重視した基盤的施設及び卓越した研究拠点の整備を図る。
○国立大学等における教育研究基盤施設の再生に向けて、耐震化等の老朽再生整備を行うこととしているが、安全・安心な教育研究環境を確保し、優れた教育研究活動を展開するために極めて重要な施策である。老朽施設を再生することにより、建物・設備の高機能化、効率化を図り、教育研究の充実を推進すべきである。○また、老朽施設の再生においては、多様な人材が意欲・能力を最大限発揮できる教育研究環境の整備、世界水準の教育研究施設の整備、国際展開を促進する施設の整備の3つの視点を重視した整備を行い、世界に開かれた国際競争力のある教育研究基盤の強化を推進すべきである。
○さらに、各大学において学内施設を再生していく際には、全学的な視点に立った施設マネジメントの取組を徹底していくべきである。

大学附属病院の再生分
○大学附属病院については、財政融資資金を基本的財源(事業費の9割分を充て、病院収入により自己返済。残りについてのみ国費を充当。)とし、計画的に整備を行う。
○大学附属病院については、全国及び地域における先端医療の先駆的な役割が期待されるものであり、新しい診断方法や治療法の研究開発、専門性を有する質の高い医療の提供、将来の医療を担う質の高い医師の教育・養成などの機能を有している。
○こうした役割、機能を有するにふさわしい病院となるよう、再開発整備を計画的に行う必要がある。なお、この整備にあたっては、病院の経営圧迫要因にならないような配慮が必要である。 

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部計画課整備計画室

(大臣官房文教施設企画部計画課整備計画室)

-- 登録:平成21年以前 --